2009年5月9日土曜日

ペット・ショップ・ボーイズ


 ニール・テナントとクリス・ロウ ニール・テナントとクリス・ロウによる不世出のデュオ、ペット・ショップ・ボーイズ。 1981年にミュージシャンで音楽誌エディターだったニール・テナントと、建築学を学ぶ大学生だったクリス・ロウの2人が出会って意気投合し、ユニットが結成された。楽器屋で同じキーボードに二人同時に手を出したことより 運命的なものを強く感じたとのこと。当初は「ウエストエンド」と名乗っていたが、たまたま二人に共通の友人がおり、その人物がペットショップで働いていたことより変更した。1984年、イギリスのエピックから「ウエスト・エンド・ガールズ」でデビュー。1985年に「ウエスト・エンド・ガールズ」をよりポップにして発売。世界の音楽シーンのトップへ一躍上りつめる。日本でも知られるようになった。以降は現在に至るまでメガヒットの連続。「哀しみの天使」、「とどかぬ思い」など多数。また、は様々なアーティストと共作、プロデュース、リミックス等で関わってきたことでも知られている。 哀愁漂うメロディーライン、ニールの虚無的で透明感に満ちたヴォーカル、艶やかで儚いポップの神髄。徹底的に冷めた目線を持ちながら、確信犯的にポップ・ミュージックを追求してきた。ほかのミュージシャン、DJ、リミキサー達から今も高くリスペクトされている。基本的なメロディーラインはクリスが作成している。数多くの作品がダンスミュージックとしても高く評価されているほか、前衛映画の製作も務めるなど、多彩な才能を持っている。歌詞を含め、様々な社会的事象を風刺した楽曲を作ることもよくある。ニール自身の体験が基になっている宗教的な曲「イッツ・ア・シン」などは、その代表作である。また、1991年のソビエト連邦崩壊にインスピレーションを受け、社会主義リアリズム的な表現を取り入れたように見せかけたミュージックビデオの「ゴー・ウェスト」が高い評価を得ている。この曲は実は1970年代、まだ同性愛に寛容でなかったニューヨーク市を拠点として活躍していたゲイグループ、ヴィレッジ・ピープルが、ゲイのメッカであるサンフランシスコへの憧れを歌った曲で、ペット・ショップ・ボーイズがカヴァーしたことになる。他にもU2をはじめ、様々なミュージシャンの曲をカヴァーしている。2003年にベスト盤「PopArt」を発表、今年2009年にも「コンプリート・シングル・コレクション」を発表、オリジナルアルバムも「イエス」を発表、精力的に活動している。
 ヴォーカルのニール・テナントは自らゲイであることをカミングアウトしている。ライヴのパフォーマンスは、ゲイ的な表現も目立つ。1994年、ニールはイギリスのメジャー・ゲイ雑誌「Attitude」誌のインタヴューに応えて、ここで初めて、自分がゲイであると公式にコメントした。一方クリスは、これまでのところは、セクシャリティについての公式なコメントはないが、彼のパートナーであったといわれているピーター・アンドレアスが、この年にエイズで亡くなっており、翌1995年にリリースされた、ペット・ショップ・ボーイズのBサイド・コレクション・アルバム「Alternative」は、ピーター・アンドレアスに捧げられている。1997年7月には、ロンドンのゲイ・プライド・イヴェントにヘッドライナーで出演。また、10月には、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開かれた、Stonewall's Equality Show にもヘッドライナーで出演している。1999年にリリースしたアルバム「Nightlife」では、ゲイからの圧倒的な支持を集めているオーストラリアの歌姫、カイリー・ミノーグと共演。ゲイであることを告白する父親と、その娘との対話を描いたバラード、「In Denial」を、ニールとカイリーがデュエットしている。また、このアルバムからのヒット・シングル「New York City Boy」は、Studio 54に代表される、'70年代末~'80年代初頭にかけてのニューヨークのクラブ・カルチャー・シーンへのオマージュであると同時に、ヴィレッジ・ピープルのテイストを今日的に再構築した作品であった(全英14位)。2005年に発売されたアルバム「Very」からのシングルカットで、全英7位のヒット曲となった「Can You Forgive Her?」について、ニールはコメントで「一種のショート・ストーリーなんだ。ガールフレンドから男らしくないとバカにされた男が、夜も眠れないでいる。ベッド・インしている時でさえ、いくじなしだと言われる。そうして彼は学校に通っていたころの、最初の性体験を振り返って、自分がゲイだと自覚するんだけど、その事実と向き合うことができないんだ」と言っている。
 ちなみに、ロンドン3日ロイターが、英国最大の音楽賞であるブリット・アワーズは3日、イギリスのポップユニットのペット・ショップ・ボーイズに2009年の生涯功労賞を授与すると発表した。授賞式は来年2月に行われる。ペット・ショップ・ボーイズは、1981年に結成。1986年には、最初のヒット曲となった「ウエスト・エンド・ガールズ」が世界各国で1位を記録した。主催者側は、「すべての世代に向けた素晴らしい音楽を、20年以上にわたって作り続けてきた」などと受賞理由を説明している。昨年は、ポール・マッカートニーに贈られた。
 台頭してきたときから、同じ匂いを感じたが、カミングアウトにはそれなりに驚いた。イギリスの名誉ある賞にも驚き。まだまだ停滞は見られず、新作「イエス」もいい出来だったので、応援しよう。

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